木酢液は、備長炭を焼くときの煙から作られます。
窯から出る煙と水蒸気が、長い煙突を通る間に冷え、さまざまな成分を含んだ雫となって、煙突の中を伝って落ちてきます。この液体を蒸留させたものが木酢液です。名人・廣田喜八さんは、窯から出る煙の状況を見ながら、いちばんいい煙の時まで待って、この煙突につなぎます。
木酢液には、250〜300種類もの成分が含まれているといわれています。備長炭の場合は、約100kgの炭材(原木ウバメガシ)から、商品となるのはわずか5リットル程度で、大変貴重なものです。
主成分は酢酸で、このために「木酢液」と呼ばれいて、一種独特な木の焦げたような煙の匂いがします。この香りが火を恐れる臭覚の鋭い動物の本能から、犬・猫・ムカデなどの忌避剤として使用されるほか、昔から先人の知恵で様々な用途に使用されています。
左の写真の装置は、喜八窯に取り付けられている木酢液を搾取する機械です。屋根の上に這わした管を通って木酢液が落ちてきます。
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